奇襲

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2011年7月東京・国会議事堂―― 戦艦『あまぎ』も完成し、今日は国会で『あまぎ』の説明をする。仲谷は少し早めの昼食をとり原稿を確認する。今日の国会はテレビでも中継されるので特にも言葉を慎重に選ばなければならないだろう。 「官房長官、今日はどんな質問がでると思う?」 官房長官である榎本宏も資料を見ながら答えた。 「恐らく、なぜこのような艦が必要なのか?どこの国に対してこの艦を造ったか?などが予想されます。」 「そうか、妥当だな。」 会議開始10分前のチャイムが鳴る。仲谷はやや緊張しながらも席に着いた。 「この日の説明でこの艦、この国、この内閣の行く末を決めるだろう。」 いよいよ開会である。まずは仲谷と防衛大臣の田辺によるこの艦の概要を説明する。説明は特に何事もなく終了。続いて質疑応答に移る。最初の質問は 「なぜこのような艦が必要になるのか?」 という質問だった。仲谷がマイクへ立ち質問に答える 「現在の東アジア情勢は非常に緊迫しております、現に我が国では死傷者が出る自体までなっております。故に我が国の守りの要としてこの艦の建造に踏みきりました。」 次の質問も予想通り 「どの国へ対して造られたか。」 であった仲谷は緊張しながらも答えた。 「先程も申したように国の守りとして建造されたのであり特定の国家への威嚇として造られたのではありません。」 もちろん嘘である。仲谷は何年もの間、拉致問題や偽札、覚醒剤などの問題があった北朝鮮への攻撃の要としようともくろんでいた。仲谷の心には北朝鮮崩壊の野望が燃えていた・・・・・・
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