第零章

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ある日の夕方祭具殿と呼ばれる倉の中で少女が捜し物をしていた。     「…羽入?ホントにこんな所にあるの?」     羽入と呼ばれた少女はオロオロしながら答えた。     「あぅあぅ…!確かこの辺りだったと思うのです…梨花?あれは、本当に危険なものなのです!!一刻も早く見付けださないと大変な事に…」   「わかってるわよ!!だから今、こうして必死に探してあげてるんでしょ!?」     梨花と呼ばれた少女は、むっとしながらも辺りを探している。     「…でもそこまで大切な物ならどうして無くしたりするの!?」   「あぅあぅ…ごめんなさいなのです…完全に僕の不注意なのです…」     羽入は申し訳なさそうに俯いてる。     「…もういいわよ…それにしても…見つからないわね…ホントにここでなくしたの?」   「あぅ…ここだと思ったのですが…おかしいのです…?」     羽入は今にも泣き出しそうな顔をしている。   梨花はため息をつきながらも、辺りをくまなく探している。     「…おかしいわね…これだけ探しても見つからないなんて…」   「た、大変なのです!!もしあれが人の手に渡ったら…」   「どうなるの?」     羽入は、かなり焦りながらも答えた。
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