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それからの私は週末は病院に向かうのが日課になっていた。
病院の匂いに慣れる事はないが、母に会える事が嬉しく不思議と面倒くさいとは一度も思わなかった。
病院では母の話相手と車椅子を押すのが私の仕事だった。ある日、母が恥ずかしそうな顔で言った話をよく覚えている。
「私はね、お父さんと二回しか会ってないのに結婚したの、一目惚れだったのね、あれは…」
「二回だけなの?」
「うん。一回目が、お見合いで二か月後にデートして次に会ったのは結婚式だったの、変でしょ(笑)でもデートの時には、この人の奥さんになりたいって感じでね…お父さん格好良かったのよ、今もだけど」
恥ずかしそうに話す母が可愛らしく見えた。
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