1 奇妙な隣人との出会い

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1 奇妙な隣人との出会い

 俺の名は三条真。カメラマン志望の普通の青年だ。  ただ一つを除いては・・・。 「ちっくしょー!」  俺は毒づきながらそこそのカメラマンの事務所を出た。  数分前まで、俺が助手をしていた事務所・・・。  クビになった理由は、俺の特異な体質にある。 「何だこりゃあ」  俺が撮った写真を見た師匠が驚きの声を上げる。 「全部心霊写真じゃねえか」  24枚撮りフィルムの全てが、心霊写真。 「心霊写真じゃありません。プラズマです」  木に浮かんだ男の顔も、あるはずのない手も、五階の窓から覗く顔も、全てプラズマだ。そうに違いない。 「プラズマだとしたら、お前の技術不足だな。何にせよ、うちも結構苦しいし、明日から来なくていいよ」 「そんな!」 「ま、カメラマンは諦めるんだな」  俺は何故か撮る写真が心霊写真になってしまうという妙な体質らしい。  それは子供の頃からで、妹のトラウマを作ってしまった。  しかし夢を諦めるつもりはない俺は、今まで暮らしていたのより安いアパートに引っ越すことにした。  それが、俺の運命を狂わせたのだった・・・。
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