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6 奇妙な隣人の申し出
翌朝、俺は遠橋さんの部屋のドアを叩いた。
「すみません、遠橋さん、これもお願いします!」
俺はセロハンテープでつぎはぎした数枚の写真を遠橋に渡した。
「これは・・・」
遠橋さんは眠そうな目をこすっていたが、写真を見た瞬間目が覚めたらしい。
「おお、ばっちり撮れとるな!おおきに!」
邪魔なんて言って破ってしまって、悪いことをしたと思う。
俺に寂しさを伝えようとしていたのだから。
「いやあ、遠橋君ありがとう、今日から遠橋君はわいの助手な!」
「え?」
遠橋さんの声は本気だった。
「可哀想な幽霊を救うため、一緒にがんばろな!」
「いや、その、それは考えさせて下さい!」
俺は走って逃げた。
そして例の並木道で写真を撮ってみた。
きっとこれは、俺の初めての普通の写真になることだろう。
しかし、あの隣人から逃げられないことは、分かっていた。
取り敢えず俺は一応、無職から霊媒師の助手という肩書きを得たのだった。
END
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