2 奇妙な隣人の頼み

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2 奇妙な隣人の頼み

 翌日、挨拶に回った俺は確かにここが変人ぞろいのアパートなのだと知った。  万屋、木刀を持った和服の男、妙な科学者、屋根の上の男、オカマ・・・。まだまだいるが、それでも皆悪い人だとは思えなかった。  ただ、隣人だけはまだよく分からない。明け方帰ってきた音で起こされたが・・・。  そして、昼を過ぎた頃。 「おーい、三条君。ちょっとええか?」  ノックの音と共に遠慮のない大声。  あの隣人だ・・・。 「あの、何でしょうか・・・?」  ドアを半分だけ開けて恐る恐る尋ねる。 「昨日のあの写真、ああいうのもっと持っとらへん?」 「ありますけど・・・」 「せやったらちょっと見せてもらえへんか!」  入ってくるつもりか・・・! 「あ、いいです、差し上げます! いくらでもあるんで!」  俺は慌てて先日現像した写真の残りを手に玄関に走った。 「ほお、よお撮れとるなあ。おおきに」 「い、いえ、お役にたてて光栄です! それでは」 「ああ、またよろしゅうな」  とにかくドアを閉めて息をつく。  そして大切なことに思い至った。
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