3 奇妙な隣人の疑惑

1/1
前へ
/11ページ
次へ

3 奇妙な隣人の疑惑

 俺は撮った写真を見た。  全て、心霊写真・・・。  木漏れ日の中の幸せそうなカップルの肩には誰のものか分からない手が、美しい森の木々には人の顔が、凪いだ海からは白い手が・・・。  全部、綺麗だと思った風景だったんだ。  その瞬間を残して、みんなに見せたいと思ったんだ。  だから、カメラマンになりたい。 「それなのに、何で邪魔すんだよ・・・」  俺は、呟いた。  何で、その風景に入ってくるんだよ。  畜生、畜生、畜生・・・。  俺はその写真を全て破り捨てた。  そう言えば、あの男はあの写真を何に使っているのだろうか。  恐怖が先にたって深く考えていなかったが、心霊番組や雑誌への投稿などだろうか。  しかし、あの男ならもっと胡散臭いことをしていそうな気がする・・・。  まさか、脅迫・・・?  心霊写真でそんなことができるのか?  しかし、あの男なら・・・。  冗談じゃない、人の写真をそんなことに使われてたまるか!  時間は夜の11時、丁度隣の男が出て行く音がした。  俺は立ち上がった。  突き止めてやる、何をしているのか・・・。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加