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4 奇妙な隣人の尾行と奇行
遠橋は、俺が撮った写真の場所を巡っていた。
そこから脅迫の材料を見つけだすつもりか?
俺が散歩する老夫婦を撮った並木道。その木の一本に、男の顔が浮かんでいた。
遠橋はその木の前に立ち、触れた。
そして、何かを語りかけ始めた。
どういうことだ・・・?
夜、木に語りかける男なんて怪しいにも程がある。
しばらくすると遠橋は満足げな顔をしてまた歩き始めた。
次に足を止めたのは、夕陽が窓ガラスに映っていた喫茶店。
その窓にも、女の顔が映っていた。
遠橋は先ほどと同じようにその窓ガラスに触れ、何かを語りかける始めた。
何を言っているのかは聞き取れない。
しかし、悲しそうな表情をしているのが、ガラスに反射して分かった。
そんなことをあと五カ所繰り返し、明け方になるとやっと遠橋はアパートへの帰路を辿り始めた。
同じタイミングで戻ったらまずいだろう。
コンビニに入って時間を潰すことにした。
適当に雑誌を立ち読みして・・・。
「三条君、なんか面白いの載っとる?」
「あー、いえ、特には・・・」
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