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私立四ツ葉学院
『はっ‥はぁ!?』
「こら。食事中は静かに!」
今は晩ご飯の時間。
お母さんはそう言いながら箸をすすめる。
一緒に食事をする弟も気にしないで黙々と口に運ぶ。
いや、てかおかしいでしょ!?
なぜそんな平静を保っていられようか‥!
『だって今、なんて言った!?』
「だーかーら、ひなが貯めてたお金使っちゃった☆」
パチッと片目をつぶってウインクをするお母さん‥
その行動に言葉も出ない。
私はもうすぐ高校生。
家が貧しいからこそ良い高校に行って、良い大学に言って将来的には家計を助けなきゃと思っていたのに‥
へなへなと身体から力が抜ける。
『信じられない‥』
じゃあ高校はどうするの‥?
絶対この家にはそんなお金ない。だから貰ったお小遣いを少しづつ貯金してたのに‥!
言葉も出ず、食事どころじゃない私にのうてんきな声をかけるお母さん。
「心配するな ひな。学校は行けるわよ!」
『えっ‥?』
まさか‥
ちゃんとお金の用意しといてくれたの‥?
嬉しさで泣きそうな私を見て、お母さんはある紙を私に手渡した。
「ひなが行く学校はこーこ☆」
『‥‥‥』
飽きれて言葉も出なかった。
そこは私が行きたかった学校ではなく、しかも紙にはただ『私立四ツ葉学院』の名前だけ。
「良いとこだといいわね☆」
これが悪夢の始まりだった。
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