心、一人の少女

8/22
前へ
/526ページ
次へ
「みんないらっしゃーい」 杏里さんが満面の笑みで姿を現した。 エプロン着用で。 「やっほー杏里、これが私の妹」 「どうも、私お姉の妹の澪子です。よろしくお願いします」 澪が頭を下げてうっすらと笑った。 ………ん? 「琉李子さん、琉李子さん」 「どうしたんだ少年?」 小声で琉李子さんに話しかける。 「澪の奴笑ったじゃないですか」 「ん? ああ、そうだな。実は私自身も澪子の笑顔を見たことが無かったんだけど」 なんと、まさに異例の珍事態。その笑顔をしてればかわいいのに。 「うんっ、よろしくね澪子ちゃん」 さすがは杏里さん、初対面の人でもすぐに仲良くなれる。 「上がって上がって、あとちょっとで完成なんだよ」 「杏里さん、まさか火をつけっぱなしとかないですよね?」 「………あっ、いけない!」 疾風のごとく家の中に戻っていった。ちょっとしたおドジさん?
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21717人が本棚に入れています
本棚に追加