心、一人の少女

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「で、私達はどうすれば?」 確かに。取り残されてしまった感でいっぱいだ。 「杏里さんが上がれと言ってましたからお邪魔しましょう。着いてきてください」 無礼ながらも家の中へ入らせてもらう。 杏里さんと遊んだ期間なら誰にも負けちゃいない。この家のどこに台所があるなど大体は分かる。 あっという間に台所に着いた。 「みんな座って、今日は僕特製のカレーライスなんだ」 部屋中にカレーのいい匂いが立ち込める。机には四つのカレーライスが置かれた。 「凄いね杏里、これ一から全部作ったの?」 「そだよ、お母さんに作り方は教えてもらったけどね」 珍しく澪が横でうずうずしている。 「澪?」 「カ、カレー………」 っとうぉい! よだれを拭け、よだれを。 「適当に座っていいよ、ちゃんと感想聞かせてね」 杏里さんのこの笑顔、よほどの自信があるみたいだ。 「杏里、いただくね?」 「いただきまーす」 俺達はカレーを一口に含んだ。
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