心、一人の少女

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「五杯目」 「早っ!」 開始数分。澪は有り得ないスピードでカレーを食べ尽している。 現在俺は三杯、食の全く衰えない澪を見てると勝てる気がしないんですけど。 横ではニコニコ杏里さんと少しずつカレーを食べている琉李子さん。談話を楽しんでいるみたいだ。 でもいくらなんでも飯とカレーの量が明らかに多い。普通は四人で食べるようなものではない。 まるで誰かがたくさん食べると信じてたみたいだ。まず俺がいる時点で杏里さんは変に思い込むだろう。 「ダメだな、下僕は潔く負けを認めるべきだ」 「早食いじゃねぇ、大食いって言ったはずだぜ?」 「どっちにしろ無理だ」 くっ、こいつにだけは絶対に負けたくない。俺は三杯目を食べ終わり炊飯器を開いた。 「………ない」 飯が無くなっていた。
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