心、一人の少女

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「すごーい、あんなにあったのにもう全部食べちゃったんだ」 杏里さんが拍手をしている。想定の範囲内じゃなかったんですか? 「ったく下僕は困った奴だ、一杯のご飯の量が多すぎなんだよ」 「それはお前もだろうが」 ぷいっとそっぽを向く。このヤロー、全く聞こうとしてねぇ。 突然琉李子さんが立ち上がりこっちへ向かってきた。 「あんたらは………ちょっとは自重しなさい」 俺と澪に優しいげんこつを放った。そして悔しそうな顔をする。 「杏里の迷惑も考えなさい。私ももっとたくさん味わって食べたかったのに!」 結局そこ? 琉李子さんも食べたいだけだったのか。 「いいのいいの、みんなに食べてもらえれば僕は嬉しいんだから」 杏里さんの心に「怒」という文字は存在しないみたいだ。 「私のカレー………」 まだ食べ足りないのかよ。
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