心、一人の少女

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家の外で何か車が止まるような音が聞こえた。 「おっ、迎えが来たみたいだ」 琉李子さんはすっと立ち上がった。 「琉李子さんの家の人はこの場所が分かるんですか?」 「ああ、一応現在地を親に送っておいたんだ。これで一発」 マメだなぁ。 「というわけで私は今日はこれまで。杏里、今日はご馳走様」 「ふやぁい………」 杏里さんは机に顔を伏せたまま何をしてるんだ? 「ほら、澪子も」 「杏里お姉様、ご馳走様でした。あと下僕、明日公園に来いよ」 また勝手に。こっちの事情やらも考えてくれよ。 「じゃあな少年、次は月曜日になるな」 「はい、今日はありがとうございました」 琉李子さんと澪は家を後にした。車の出発する音から本当に帰宅した様子。 「杏里さん、片付けしますけどいいですか?」 返事がない、ただの屍のようだ。 嘘。でも杏里さんの反応がないんだけど。
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