心、一人の少女

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俺はゆっくりと杏里さんを持ち上げソファに寝かせた。 ソファが杏里さんのよだれによって染みていく。この人大丈夫だろうか? 一応カレーをご馳走になったわけだし俺は感謝の意を込めて皿洗いをすることにした。 スポンジも石鹸も分かるところにあったので迷わず開始することができた。 小さい頃から母さんに皿洗いだけは念入りにさせられていたから得意な方だ。 そんなに量が多くなかった皿はあっという間に綺麗になった。 これからどうしよう? 帰るべきなのだろうけど杏里さんを一人残すわけにはいかないし……… 「裕君………」 杏里さんの震える声が聞こえた。寝言? 「裕君、行かないで………」 寝言にしてはかなり上手くできているけどそこまで言われたらたとえ夢だとしても帰れないな。 今日一日くらいならお邪魔してもいいですよね?
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