心、一人の少女

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「………くん」 ………ん? 「裕君?」 「あれ、杏里さん?」 目を開けると杏里さんの笑顔があった。酒臭くない。 「裕君ってば、気が付いたら僕の横で寝てたからビックリしちゃったよ」 寝てた? 俺は持っていた携帯画面を開いた。 完璧朝になっている。あれから寝てしまったのか? 「もしかしてお皿を洗ってくれたのは裕君?」 「そうです、カレーを食べさせてもらったお礼ということで」 「………ありがとう」 うむ、やはり杏里さんには笑顔が一番。 「でもなんだかちょっぴり恥ずかしいことをしたような気がするんだけど気のせいかなぁ?」 ぐあっ、それを思い出させないでください。 「気のせいですよ、杏里さんはあれから寝てましたから」 「そうなの? それじゃ昨日遊びそびれたから今から遊ぼうよ!」 「杏里さん!?」 何をして遊ぶんだろう? 杏里さんはマイペースな人だ。 昨日の出来事を思い出すだけで顔から火が出そうになる。 もし、少しでも昨日の行動の中に杏里さんの気持ちが入っていたとするならば………
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