21717人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたんですか杏里さん?」
「花火が無くなっちゃったよぉ」
途端に気分が落ちてしまう杏里さん。
あれだけあったのをもう終わらせてしまったのか。
「仕方ない、あとはこれで終わらせよう」
綺麗にある一定の花火だけが残っていた。杏里さんはそれに火をつける。
その花火は穏やかに燃え出した。
「うー、やっぱり盛り上がらないよぉ」
パチパチと小さく弾ける線香花火。確かに他の花火よりは激しくなくちょっぴり寂しい。
「杏里さん、線香花火にもいいことがあるんですよ」
俺も線香花火を手に取って火をつけた。
「確かに脆くて儚いですけど、この中心部の光は何だか心強くてかっこいいじゃないですか」
「裕君のその笑顔、ちっちゃい頃から変わってないね」
「そうですかね?」
俺は過去を振り返ってみた。
最初のコメントを投稿しよう!