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『裕ちゃん撃破、あたしの勝ちだよぉ』
川につかっている俺を指差しながら大爆笑をする紫音。こっちの気も知らないで………
『うっ、うわあああぁぁぁぁあん!』
俺はいつもと変わらずやはり泣く。
『紫音、それまでにしなさい』
『痛っ!』
杏里さんが後ろから紫音の頭を軽く叩いた。
『確かに皆で遊ぶのは楽しいけど裕君を泣かしたらダメだよ、裕君が可哀想だよ』
『だってぇ』
紫音は頬を張らせる。なぜか不満なようだ。
杏里さんは俺に手を差しのべる。
『裕君、掴んで。引き上げるから』
その時の杏里さんの笑顔は邪悪な紫音のものと違い、暖かくて天使のようなものだった。
『ぐすっ、ありがどう、杏里ちゃん』
『いいんだよ、裕君は僕がちゃんと守ってあげるんだから』
杏里さんのひとつひとつの優しさがとても嬉しかった。
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