21716人が本棚に入れています
本棚に追加
/526ページ
「………はぁはぁ」
「待ちなさい裕ちゃん! 今日こそ捕まえちゃうんだから!」
雲ひとつない青空、降り注ぐ太陽。風を体全体で感じる、景色がどんどん変わっていく。
僕は城石裕大(しろいし ゆうだい)、小学一年生。今幼稚園の時からずっと一緒だった幼なじみ、植本紫音(うえもと しおん)ちゃんから逃げているところだ。
周りから見れば楽しそうな鬼ごっこに見えるだろう。でも僕は違う、必死なんだ。
「裕ちゃん、あたしから逃げようなんて100年早いんだよぉ」
「100年も生きれないよぉ!」
紫音ちゃんはとにかく速い。僕がいくら頑張っても絶対に勝つことはない。紫音ちゃんに敗北という文字はないんだ。
汗が頬を伝う感覚がよく分かる。追われてる理由は、
………なんなんだろう? 僕は逃げることしか考えていない。
最初のコメントを投稿しよう!