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うるさく言うのもどうかと思ったので俺はそこらを泳ぐことにした。
あまり遠くへは行かずになるべく浅い場所で。水が気持ちいい。
上からは太陽が燃えるように照り尽しているが海の冷たさによってそんなものは感じない。
やっぱ海っていいね。
杏里さんは浮き輪を脇で挟みながらぷかぷかと浮いている。
特に動こうとせず、波の動きだけで移動してるようなものだ。
波に拐われなければいいけど。ああ、やっぱりどこか不安だ。
でもあれだけ満足そうな表情ならわざわざ止める必要もないだろう。
一人忘れ去られている澪だがパラソルの下でじっと俺を見ている。
俺の視線に気が付いたのかこちらへ向かってきた。
「下僕、ちょっと」
手招きで俺を呼ぶ。仕方なく澪の元へ。
「どうした?」
「なあ、かき氷………食べたくないか」
かき氷?
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