21717人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし、もう一回泳ごっと」
かき氷を食べ終えた杏里さんが再び浮き輪を持って立ち上がる。
「裕君も行こっ?」
杏里さんに手を捕まれる。小さくて白くて暖かな手。
そしてその先には細い腕。その手に俺は今引かれている。
俺は杏里さんにドキッとしてしまった。
この高鳴る鼓動、徐々に熱くなっていく顔。俺おかしくなりそうだ。
「うんしょっ、うりゃー!」
浮き輪を遠くへ投げてそれをぎこちない泳ぎで取りに行き掴む。脇に挟んで浮き始めた。
「杏里さん、泳ぐんじゃなかったんですか?」
「これが僕の泳ぎだよ、とっても気持ちいいんだ」
こうしてればラッコの気持ちが分かるってか? ラッコもこんな感じなんだろうね。
海には泳ぎに来たり騒いだりと様々。しかしあそこのパラソルの下にいる女の子はなぜ体育座りをしながらこっちを見てるんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!