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「杏里さん、説明してくださいよ」
「実は僕ね、お母さんと喧嘩しちゃったの」
杏里さんが喧嘩か。珍しいな。
でもこの家族の喧嘩ってどんなものなのか想像できない。
「それで飛び出して来ちゃったの。僕の頼れる人は裕君しかいないから」
そう言われると恥ずかしいな。母さんなんて横でニヤニヤしてる。
「いいんですか? 沙里さんもきっと心配するはずです、連絡くらいは」
「大丈夫、書き置きしてきたから。『裕君の家に泊まってきます』ってね」
本当に喧嘩してきたのか? ほんのり平和な雰囲気が感じ取られるんだけど。
「杏里ちゃん、こっちに来て。空き部屋に案内するからね」
「ありがとうございますお母様」
杏里さんは母さんに着いて行った。そういえば客が来た時のためにわざわざひとつ部屋を用意してたんだ。
あの部屋に入るのは杏里さんが初めてな気がする。
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