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「はぁーっ」
地獄を乗り切った俺はベッドの上でうなだれていた。
やはり野菜は無理だ。いかに杏里さんの手作りでも野菜自体の不味さは変わらない。
もちろん全部食べてしまった。野菜を食べるのはこれっ切りにしておこう。体が持たない。
「ゆっうくん」
未だにエプロンを着用している杏里さんが俺の部屋に入った。
エプロン姿、改めて思うけどかなり似合ってる。これで周りを振り向かせるくらいの実力は兼ね揃えていそうだ。
「横に座っていい?」
「どうぞどうぞ」
杏里さんはベッドの上に腰かけた。女の人独特のいい匂いがする。
男という生物はどうしてこうも興味をそそられてしまうのか? 自分でもよく分からない。
「今日のおかず、全部食べてくれてありがとね。お母様が裕君の大好物は野菜って聞いたからね」
「とても美味しかったですよ、ありがとうございます」
やっぱりあの女か。
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