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十秒と経たない内に杏里さんがぱっと離れて「もういいよ」と名残惜しそうに言った。俺もどこかもったいないような。
ズボンを渡そうにもただ寝るだけだし適当なものでいいか。
「体操服ですけどいいですか?」
「うん、いいよっ」
普段体育の時に使う半ズボンを渡した。杏里さんはせっせと履き始める。
いくらズボンを履いたとしても細くなく太くなく、優美な足は見えてしまうわけで。
俺末期?
ズボンを履き終えた杏里さんはそのまま俺のベッドにダイブした。
「この布団気持ちいいねぇ、ふわふわしてるしさ」
俺専用の枕に頬擦りをしながら満面の笑みを溢す。
「特に何もしてないんですけどね」
「裕君の匂いがする………」
俺は急いで自分の匂いをかいでみたが何も鼻に来ない。
人からすればこの人の匂いというものは分かるけど本人はそれに気付かない。
慣れてしまった証拠だろうか?
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