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俺の心臓が元気よく鼓動する。
普通、思春期の男女が同じベッドで一夜を過ごすなどあり得ないわけで。この状況は奇跡と言えよう。
年頃の男子なら当然緊張してしまうのか俺が基準以上に意識してしまっているのか。
「ねぇねぇ裕君」
俺は杏里さんに背を向けて寝ていた。背後から服が引っ張られた。
「僕ね、このままでずっといたいなって思うの。だってほら、大学に行っちゃったら裕君と会えなくなるでしょ?」
「浪人ですか?」
「もう、いいよっ!」
怒ったかのような声が耳に届いた。機嫌を損ねるわけにはいかない。
「すっ、すみま………」
「ふふっ、冗談だよぉ」
体を翻すと杏里さんは決して怒ってなかった。いつもと変わらない屈託のない笑顔。
って、顔近い、近い。
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