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「杏里さん、入りますよ」
「どうぞー」
俺はドアの前に立っている。部屋からはいつもと変わらない杏里さんの少し抜けたような声が帰ってきた。
そもそもこの部屋は俺のもの。なんで主導権を握られてるんだろう?
失礼しますと一声かけて部屋に入った。
「裕君も出発するから急いで急いで」
寝間着を完全に脱ぎ捨て、上は青のシャツに白の上着を重ねて、下は青っぽいショートパンツだ。
普通にスタイルのいい杏里さんなのにショートパンツのせいかさらに足が長く見えて美しさを出している。
モデルになっても悪くはない。
「出発するって、どこかに行くんですか?」
「うん、ちょっと琉李子に用事があってね、琉李子の家に行こうと思うの」
杏里さんは楽しそうな声で言った。
「だから早く早く」
そこまで急かさなくてもいいのだが。
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