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俺が漕ぎ進めていると杏里さんはどうやら後ろに座ったみたいで腕を俺の体に回してきた。
何か言おうとしておいたけどやめた。落ちてしまったら俺も困る。
全く後ろに重量が感じられない。
誰もいないかのような感覚だ。やっぱ女の人って軽いんだな。
「裕君、次の曲がり角は右だよ」
杏里さんの指示通り運転する。見慣れたはずの景色もどこか新鮮だった。
「次も右」
「また右」
「あー、右だよぉ」
「さっきから右ばっかじゃありませんか?」
同じ所をぐるぐる回っている。結果再び家の前へ。
「あれ、裕君の家だ。間違えちゃった」
舌を出して俺を誘惑する。どこで間違えると?
「わざとですか?」
「そんなことないよ、次は間違えないからさ」
怪しいなぁ。
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