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お互いカードを引き合って数周回った。
「あっ、しまった」
「ふふっ」
杏里さんの笑み、澪の焦りの表情から杏里さんから澪へババが渡ったんだと思う。
すでに俺の手札からはババは無くなっていた。それが転々と渡り継がれていったんだろうな。
「ほら」
澪がカードを突き出す。ババがあるだろうから慎重にいかねば。
俺から見て一番左のカードに手をかける。
「あっ………」
澪が今にも泣きそうな表情となった。よってこれはババではない。
「悪いな、勝負とは常に非情なものなのだよ」
俺はそのカードを引き抜いた。六か、なかなかよいカードだ。
「うぅ、ババいらないよ」
「澪子、少年に取ってもらうなんてせこいことはよしなよ」
琉李子さんの一言でさらに落ち込んだ。
意外にかわいいかも。
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