訪問、琉李子さん家

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振り返るとうつむいた澪が俺の服の裾を掴んでいた。 「澪?」 「い、いかないで………」 弱々しい声、震える体。俺は驚かされた。 「違うよ、用事があってだな」 「ごめんなさい、いかないで………」 服を掴む力は次第に強くなり、震えも大きくなっていく。 やがて澪からいくつもの滴が落ち出した。泣いている? それを涙と判断するのに時間はかからなかった。 「いかないで、いかないで………」 何度も呪文のように口にする。注意深く聞かないと聞こえないくらいの小さな声だ。 「少年、ちょっといいか?」 琉李子さんが俺の前に仁王立ちした。その表情は真剣そのもの。 俺は声が出せなかった。 「澪、少年はどこにもいかないから、手を離しなさい。杏里、澪を見てて」 「うん、分かったけど」 「少年、こっちだ」 琉李子さんに手を引かれて俺はどこかに連れていかれた。
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