想い人、琉李子と澪子と

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これから先も澪子が笑うことはなく少しばかり時は流れた。 『うへー、あつーい』 夏休み。全ての小学生が喜びや楽しみを感じる。縛るものが何もないため、四六時中遊んでいられる。 高校生の今じゃ考えられないね。 『あ、ああ゛ああああ゛あ』 扇風機の前で「あー」と言葉に出す。自分の声が振動で変化する。 もはや夏の定番。 澪子は相変わらずおもしろくなさそうに絵本をめくっていた。いや、澪子の中ではおもしろいのかもしれない。 『澪子、一緒に遊ぼ?』 『いい』 澪子は再びページをめくった。 『澪子、テレビ見ようよ』 『興味ない』 あっさり断られ続けるけど私は全然気にしていなかった。 私には澪子を楽しませる秘策があったから。
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