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ある日、一本の電話がかかってきた。対応したのは母さんだけど。
『もしもし……あっ、そうなの?』
『分かったわ、待っておくからね』
母さんは嬉しそうに電話を切った。私は母さんに近付いた。
『お母さん、誰からのお電話だったの?』
『琉李子、今日はあの子がこっちに帰ってくるそうよ』
あの人と言われてすぐに一人の人物の影が映し出された。
『まさかリョウ君!?』
『そうよ、いずれリョウ君がここに挨拶に来るって』
私も嬉しくなった。あのリョウ君がまたやってくる。
リョウ君というのはお母さんのお兄さんの息子さん。要するに従兄。歳は私より一個上。
リョウ君は不定期だけどこの町に戻ってくる。実家は島にあるけどお婆ちゃんの家がこっちにあるかららしい。
年上だけどどうしても「お兄さん」という気になれない。小さい頃からずっと親しんでいたからだろうか。
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