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『それでね、すっごく楽しかったんだよ』
『それはおもしろそうだね』
私はリョウ君がいない間の学校生活や日常をお話しした。
この頃の私は本当に無邪気で腕白。悪いことなどひとつも考えていない、いつも笑っていた。
そんな性格だからこそリョウ君と仲良く出来てるのかもしれない。実際はリョウ君が受け止めてくれてるのだろう。
その時、私はふと襖が微妙に開いてることに気が付いた。その狭い空間に存在するたったひとつの瞳。
澪子が覗いている。もしこれがホラー映画というのなら私は簡単に泣き出してしまうだろう。
『澪子ちゃん、入って来なよ?』
私が言葉を放つ前にリョウ君が澪子を促した。どうやら私より早く気付いていた。
『……』
しかし澪子の返事はない。岩のようにジッと見て動かない。
なんだか怖くなってきた。
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