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『……おい』
澪子がゆっくりと口を開いた。
『お前を、私の家来にしてやる』
『はい?』
当然のごとくリョウ君は困惑の表情を見せた。頭をかきながら何かを考え始める。
澪子は顔を真っ赤に染めてそっぽをむいている。男の子と話すのは初めてだろうから恥ずかしいんだと思う。
『琉李子ちゃん、僕は一体どうすれば?』
『澪子の言うこと聞いてあげて』
答えにはたどりつかなかったみたい。リョウ君は焦っている。
『うむぅ、分かった』
リョウ君は膝をついて澪子と視線を合わせた。そして澪子の頭の上に手を置く。
『よろしくお願いします。お嬢様』
『んなっ! う、うん……』
澪子は今にも爆発寸前のようになりうつむいた。この様子をリョウ君はクスリと笑った。
慣れてる感じがして、本物の執事かと思った。当時の私は気にも止めてなかったけど。
これが澪子とリョウ君の出会い。
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