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澪子とリョウ君が仲良しになるのはそれほど時間はかからなかった。
『お茶』
『お菓子』
『本』
『了解しました』
わがままで何事も自分でやらずに全てを押し付ける澪子に対して、姫様に忠実に従う兵士のように受け入れるリョウ君。
『リョウ君、澪子のわがままばっか聞いてたらキリがないよ?』
私はリョウ君の服を掴んだ。すると屈託のない笑顔で振り向いた。
『僕は僕のやりたいことをしてるだけだよ。澪子ちゃんとも仲良くしたいし。ほら、見てよ』
リョウ君の視線の先には笑顔でお茶をすすっている澪子。
『琉李子ちゃんは言ってた、澪子ちゃんは笑わなくて愛想がないって。でも僕はそう思わない』
リョウ君は続ける。
『人に接するのに一番大事なのは優しさだよ。どんな人でも優しく接してあげればああいう風に心から笑ってくれると思うんだ』
確かにリョウ君の言う通りかもしれない。澪子の気持ちなんて考えたこともなかったから。
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