想い人、琉李子と澪子と

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澪子は前方を指差した。見ると誰かが傘をさしてこちらに向かってきた。 『リョウ君?』 『こんにちは。琉李子ちゃん、澪子ちゃん』 リョウ君が満面の笑みで図書館にやってきた。手には一本の傘を持っている。 『どうしたの、こんな大雨で?』 『琉李子ちゃんの家に行ったら図書館に行ったって聞いて。傘を持っていってないと思って来てみたら予想通りの大雨だよ』 全てが分かっていたかのように話を進める。未来人? リョウ君は私の横に来て傘を閉じた。 『はい。これを使ってよ』 私達に二本の傘を渡してきた。 『ダメだよ。それじゃリョウ君が濡れちゃう』 『大丈夫だよ。僕は全力で走れば問題ないはず』 どう考えても大丈夫じゃない。風邪ひいちゃう。 私とリョウ君が討論していると横で澪子が傘を開いた。 『おにいちゃん、こっち』 澪子は手招きをしている。どうやら入れということらしい。
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