蒼天の彼方へ

想い人、琉李子と澪子と

澪子はいつの間にかリョウ君のことを『おにいちゃん』と呼び出した。理由は分からないけど澪子がリョウ君を慕っていることは私でも理解出来る。

『僕が？ 悪いよ澪子ちゃん』

さすがにリョウ君は戸惑っている。今までこんなに優しいところを見せたことはなかった。

『いいから。早く入って』

澪子がマジマジと見ながらぐっと傘を近付ける。これにはリョウ君も参ったようだ。

『分かった。それじゃお邪魔します』

リョウ君は中に入り、澪子の代わりに傘を持った。

『それじゃ帰ろ』

私も澪子も縦に首を降って歩き出した。空一面に雨雲が広がる。この雨は当分やみそうにないかな。

リョウ君にぴたりとくっついて満面の笑みの澪子がとても印象的だった。

なんだ、あの子もちゃんと笑えるんだ。お姉さんとして、なんだか安心した。