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『リョウ君、これでも食べててよ』
私はリョウ君に冷凍庫から取り出したひんやりと冷たいアイスを手渡した。
『ありがとう、琉李子ちゃん』
アイスを受け取ったリョウ君はスプーンでひとすくいして口に運ぶ。
満面の笑みが溢れる。やはり夏にはアイス。これは決定事項だ。
誰もが夏にはアイスを望む。冷たいジュースも一緒。季節によって感覚が違うのも人間の不思議のひとつ。
それからリョウ君とは他愛のない会話を楽しんでいた。
『ただいまー』
玄関から澪子の声が聞こえた。
『澪子ちゃん、帰ってきたみたいだね』
楽しそうに私を見る。澪子と遊ぶことがリョウ君の楽しみになってきたのだろう。
『帰ったよ、お姉……あぁっ!』
部屋に入ってきた澪子はあるものを指差して声を上げた。
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