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『なんで私のアイスを!』
澪子が指差したもの、それはすでに空となっているアイスのカップ。
『……あっ』
よく見ればこのバニラは澪子のものだった。本来ならば私のを余分にあげようと思っていたのに誤ってしまった。
『ご、ごめん。澪子ちゃん』
『リョウ君!?』
リョウ君は澪子に頭を下げる。悪いのは私なのに。
『勝手に私のアイスを……何を考えてるんだ』
澪子の声がずしりと重い。笑顔は消え、以前の澪子に戻ってしまった。
迫力は全くないけど本気で怒っている。
『勝手に上がりこんで私のアイスを食べる。ぶざけるなっ!』
『澪子、悪いのは』
『お姉は黙ってて。許さない、許さない。ぜーったいに許してやらない』
澪子は拳を強く握り締め、そして叫んだ。
『どっかにいっちゃえっ!』
澪子の叫び声が私の耳を激しく刺激した。
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