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『琉李子、澪子。落ち着いて聞きなさい』
私達をその場に座らせてお母さんが口を開いた。どちらかと言えばお母さんの方が落ち着きがない。
『リョウ君が、車とぶつかって……』
『えっ!?』
私と澪子は声を張り上げた。
『嘘っ、嘘でしょ?』
『嘘じゃないわ。この家の前に人がたくさんいるでしょ? 事故の様子を見に来た人達でいっぱいなの』
それじゃ……
『かなりの重体らしいから遠くの病院に搬送されたらしい。さっきリョウ君のお母さんから聞いたわ』
そんな、リョウ君が交通事故なんて。
この時の私でも重体の意味が分かっていた。危険な状態。
毎日笑って一緒に遊んでくれたリョウ君。いつまでも優しいリョウ君。そんなリョウ君がいなくなっちゃう……
頭を振り切り替える。リョウ君はそんなに弱い男の子じゃない。
隣では完全に顔を青ざめた澪子が涙を流していた。
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