21717人が本棚に入れています
本棚に追加
『おにぃちゃん、おにぃちゃん……』
小さな澪子でも交通事故くらいは知ってるだろう。さらに人がいなくなってしまう悲しみ。
『私のせいだ。私のせいでおにぃちゃんが……』
『澪子、リョウ君は大丈夫だから』
私がたとえどんな言葉をかけても澪子には通じなかったようだ。
『おにぃちゃん、うぅ……』
『お母さん、リョウ君の病院先、分かるよね?』
『うん、分かるけど』
今の状態からして澪子はリョウ君に会わせるべきだ。それしか道はない。
『澪子、行こう。リョウ君に会いに。そして目いっぱい謝るんだよ』
『うぅ、ぅあぁぁぁぁ!』
澪子の泣き声が響いた。私はあの時の澪子を忘れることは出来なかった。
その日から澪子の笑顔はすっかり消えてしまった。澪子のことだから嫌じゃなかったけど何かが足りない生活だった。
最初のコメントを投稿しよう!