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淡々と過去を話していく琉李子さんの表情も徐々に悲しいものへと変化していくのがよく分かった。
「以上だ。澪子にとって、あの失言は大切なものを無くしてしまった結果しか生み出さなかった」
俺はまだ体験したことはないけど、人を失うということがどれだけつらいことか。
しかし話を聞く限りではリョウさんは交通事故に遭った。でもそれからは聞いていない。
「あの、大変聞きづらいんですが。リョウさんはどうなったんですか?」
「……分からない」
ポツリと注意深く聞かないと聞こえないような声で言った。
「分からないって……」
「実は病院先は分かったはいいけどいつだったかな? 急にリョウ君の入院先が変わったんだ。それを知らない私達は何も分からなかった」
微笑を浮かべながら話す琉李子さん。今にも泣き出しそうだ。
「ここ数年ずっと会ってない。生きてるかも分からない。話したい、遊びたい。またあの頃に……」
心に重くのしかかる言葉だった。
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