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「あとね、事故の日。リョウ君は何で家を出たんだと思う?」
「何でって、澪に強引に言われたから」
琉李子さんはうっすらと笑みを浮かべた。
「実はそんな理由じゃないんだ。後日分かったことだけど、事故当時、現場にはビニール袋が落ちていたらしい」
琉李子さんは続ける。
「その中にはドロドロに溶けてしまったアイスが三つ入っていた。夏休みだから溶けるのは無理はない。何故アイスがあったか、分かる?」
俺は首を横に振った。
「リョウ君は自分が悪いと思い込んでしまっていた。リョウ君は優しすぎるから澪子と仲直りするためにわざわざ澪子の大好物を買いに行った。その帰り道に事故に遭ってしまったんだ」
琉李子さんは再び空を見上げた。目は焦点が合っていなかった。
リョウさんはリョウさんなりに仲直りしようとしていた。なのに出来なかった。
いくらなんでもこれはひどすぎる。誰がこんな悲しい結末を引き起こしてしまっただろうか。
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