21717人が本棚に入れています
本棚に追加
「杏里、澪子の様子は?」
「うん。だいぶ落ち着いたみたいだよ」
澪はソファにちょこんと座っている。落ち込んでいるのはよく分かる。
俺は澪の近くに駆け寄った。
「澪、ごめんな。俺が悪かった。ほら、お前の大好きなアイスだ」
はっと気付いたように俺の顔を覗き込んだ。その瞳は涙で潤んで輝きを放っていた。
「……おにいちゃん」
「なんだ、澪?」
「どこにも行かない?」
「行かないよ」
「私を、私を許してくれる?」
「ああ、澪は悪くないんだから」
ふと俺の体がいい匂いに包みこまれる。泣きじゃくる澪が俺に抱きついていた。
「ごめんなさい。おにいちゃん、もうどこにも……っ、ぁぁぁぁぁぁあ!」
澪は大声を上げて泣き出した。その華奢で小さな体を抱き締めた。
こんなに澪は泣いてるんだ。早く戻ってきてやってくださいよ。
最初のコメントを投稿しよう!