想い人、琉李子と澪子と

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「杏里、澪子の様子は?」 「うん。だいぶ落ち着いたみたいだよ」 澪はソファにちょこんと座っている。落ち込んでいるのはよく分かる。 俺は澪の近くに駆け寄った。 「澪、ごめんな。俺が悪かった。ほら、お前の大好きなアイスだ」 はっと気付いたように俺の顔を覗き込んだ。その瞳は涙で潤んで輝きを放っていた。 「……おにいちゃん」 「なんだ、澪?」 「どこにも行かない?」 「行かないよ」 「私を、私を許してくれる?」 「ああ、澪は悪くないんだから」 ふと俺の体がいい匂いに包みこまれる。泣きじゃくる澪が俺に抱きついていた。 「ごめんなさい。おにいちゃん、もうどこにも……っ、ぁぁぁぁぁぁあ!」 澪は大声を上げて泣き出した。その華奢で小さな体を抱き締めた。 こんなに澪は泣いてるんだ。早く戻ってきてやってくださいよ。
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