憂鬱、ちっちゃな少年

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「落ち着いたか?」 「……うん」 澪が泣き出して数分。俺はずっと抱き締めたままであった。 隙を突いて頭を撫でてやったりもしてみた。殴られるかと思えばそんなことはなく、ただ俺の懐で声を上げるだけだった。 俺が持ってきてやったアイスは真夏の熱気を浴びてすぐに溶けてしまった。カップだったのが幸いだ。後で冷やさなければ。 「なあ、お姉に全部聞いたんだよな?」 「うん、最初から最後まで。お前も大変だったな」 「ふんっ!」 澪はバッと俺から離れた。そしていつもの不機嫌そうな表情に戻る。 「俺はどこにも行かない。お前から離れたりしない。よかったら俺が『おにいちゃん』になってやるが?」 「……はんっ、自惚れるな。お前に私のおにいちゃんにはなれないよ」 どつかれた。本気だったから少しショックだ。
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