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「その、でも……」
もじもじしながらも真っ直ぐに俺を見据えた。その大きくてくりんとした瞳に吸い込まれてしまいそうだった。
「あ、ありがとう……」
一気に熟してしまったリンゴのように真っ赤な顔が出来上がった。そして俺から目をそらす。
あれだけ俺に酷かった澪が俺に謝るなんて。大地震の前触れなのか天変地異でも起こるのか。
どっちにしろ澪は変わったということで解釈していいはずだ。
「おうよ、困ったことがあったらなんでも言え。すぐに駆け付けてやる」
「うん……うんっ!」
澪はかわいらしい笑顔を見せた。ようやく俺は澪の笑顔を拝むことが出来た。
これは信頼されていることに間違いは無さそうだ。
俺からはこれからも澪の笑顔を見たい、崩すわけにはいかないと心に決めた。
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