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「ぶー」
杏里さんはすっかり頬を膨らませて俺をジッと見ていた。因縁をつけられているような感じがする。
「俺の顔に何かついてますか?」
「なんだか不満」
再び頬が膨らむ。ここでマシュマロみたいに柔らかそうな頬をつついてみたい衝動に刈られるがここは堪えよう。
「僕は考えたよ。裕君と琉李子は真剣にお話をしてたっぽいけど僕には取り残された感しか心にないんだよぉ」
うーん、確かに何も知らないのは杏里さんだけ。何故澪が泣いてしまったのかも見当がつかないだろう。
分かりやすく言えば杏里さんは一人だけ仲間外れにされたと思ったんだ。
「杏里さん」
「うひゃぅっ!」
俺は杏里さんの頭の上に手を置いた。艶のある髪が吸い付いてきそうだ。
「ごめんなさい。でも杏里さんは澪を落ち着かせるといういい仕事をしてくれたと思ってます。言うなればグッジョブです」
「ふみぃ、はふぅ」
目が虚ろになり焦点が合っていない。のぼせてしまったのか?
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