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「少年、いやチビっこ。ちょっと来てくれ」
琉李子さんが手招きで俺を呼ぶ。軽く笑いを堪えているのが分かる。
立ち上がった俺は驚愕した。皆でかい。杏里さんや琉李子さんを完全に見上げるほどになっている。
皆が大きくなったのか? いや、違う。これは……
「むっ。言うことを聞かないチビっこはこうしてくれる」
俺の体はひょいっと浮いた。そのまま琉李子さんの胸の中に吸い込まれてしまった。
「杏里、少しこのチビっこにお話があるから借りていくよ」
「ずるーい。僕も裕君と遊びたいのにぃ」
「すぐ戻ってくるから安心しなさい。変なこともしないからさ」
何の会話だ? このヤロー。
「さあ、チビっこ。今から旅に出かけようじゃないか」
「る、琉李子さん!?」
俺は抱きかかえられたままどこかに連れて行かれた。
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