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「まっ、元に戻る方法はちゃんと調べておくからさ。頑張れ、チビっこ」
琉李子さんの手の平が俺の頭の上に置かれた。とても気持ちいいのは何故だろう? 懐かしいのか?
リビングに戻ると杏里さんが目を輝かせて俺を見つめていた。
「ゆっう君、ゆっう君」
笑顔で近付いてくるが少し恐怖を感じた。嗚呼、俺は何をされてしまうのか。
「ほい。チビっこは確かに渡したよ」
「かっわいい! やっぱり裕君はかわいいよぉ」
杏里さんは俺を力いっぱい抱き締めた。非常に苦しい。
しかし苦痛に悩む一方で柔らかい感覚が俺の顔に当たっている。そう考えればしばらくこのままでいいかも。
と、失礼な考えはやめて必死に離れようと抵抗する。
「裕君、離さないよ」
感付いたのか抱き締める腕がさらに強くなる。まるで反撃出来ない。
何もかもが小さい頃に戻ってしまったようだ。
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