憂鬱、ちっちゃな少年

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「杏里お姉さま、ちょっとそのチビを私に貸してください」 澪が満面の笑みで杏里さんに尋ねた。チビとか失礼だし俺は物じゃない。 「いいよ。はい」 俺の体は杏里さんから澪へと移った。俺を抱えた澪はうっすらと怪しく微笑み、俺を普通に座らせた。 嫌な予感しかしない。 「私をお姉様と呼べ」 「はっ?」 澪の言葉には妙に威圧感があった。多分見下ろされているせいかもしれない。 「今のお前のランクは明らかに私より下だ。ノーとは言わせない」 「ノーと言ったら?」 「てるてる坊主みたいに吊したり、首輪を着けて散歩させたり。当然四足歩行な」 顔と言ってることが全く一致しない。澪ってえげつない。 「わ、分かりました。澪お姉様」 「うむ。こうしてみればかわいいな」 や、やめろっ。澪が言う台詞ではない。 だが澪に逆らえない以上俺にはどうすることも出来ない。
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