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「杏里、ちょっといい?」
琉李子さんが杏里さんを呼んで何かを話している。遠くて全然聞こえない。
数秒で話が終わり杏里さんは俺を抱えた。
「それじゃ澪子ちゃん、僕ちょっと用事があるから」
「えー! 帰っちゃうんですか?」
俺も驚きだ。しばらくここにいるのかと思っていたから。
「そうなんだ。ごめんね、澪子ちゃん」
「チビを痛めつけるチャンスだったのに……」
小声で聞き取れないが悪感がしたのは何故だろう?
「じゃね。琉李子、お邪魔しました」
「またね、杏里」
「る、琉李子さん!」
俺は杏里さんの腕から身を乗り出した。
「元に戻る方法、ちゃんとお願いしますよ」
「う、うん……」
琉李子さんの真っ白な頬がほんのり赤く染まった。悪いことは絶対にしてない。
調べてくれるだろうか? 琉李子さんを信用していないわけじゃないけどやはり心配だ。
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